熊さん5

熊さん

俺は熊。高校生だ。

ある朝、目覚めるとパンダになっていた。
熊「マジか!」

神様は俺のことを見ている、そう思った。
俺は早速動物園に駆け込んだ。

飼育員「OK。じゃあ明日から働いてもらうよ」
即採用。当然だ。

こうして、俺のパンダとしての人生が始まった。

笹を食い、愛嬌を振りまく。

だが、俺はそれだけじゃなかった。

歌い、踊る。俺は多芸なパンダを目指した。

俺の人気はみるみる上昇した。
スター街道まっしぐらであった。

そんな中、俺は結婚した。

二人の子供を授かり、幸せの絶頂をかみ締める。

俺の人気はとどまるところを知らなかった。海外から俺を見に来る客もいた。

そして、俺は表彰された。

街に並ぶ俺のグッズ、俺のポスター。

頂点に上り詰めた、そんな気がした。

そんなある日……

   ◆◆◆

熊「今日も笹かよ……」
俺は笹しかない食事にうんざりしていた。
熊「たまにはステーキとか出てきてもええんちゃうの?」
飼育員「いやー……駄目でしょう。イメージ商売ですから」
熊「……」

   ◆◆◆

どこからかはよく覚えていない。
ただ、ある日を境に俺の心は荒れていった。

心の荒みは家庭を崩壊させた。妻と別れ、子供も出て行った。

そして、俺の芸は精彩を欠き、人気は衰えていった。

   ◆◆◆

そして、今――

あれから何年経っただろう。

俺は寝たきりになり、天井を眺める毎日を過ごしていた。

どうしてこうなった。
何が間違っていた?

熊「……俺の人生なんやったんや」

笹を食い、愛嬌を振りまく。
それだけでいいと思っていた。最初は。
だが、いつからかそれだけでは満たされなくなった。

俺は何を手に入れたのだろう。

その答えは分かっている。俺は何も手にしていない。

だが、俺は何が欲しかったのだろう?

もし、もう一度やり直せるとしたら、俺は何を望むだろう。何を目指すだろう。

涙がこぼれる。
もう疲れた。眠ろう。
俺は目を閉じた。

   ◆◆◆

ガバ!

熊「……夢やったんか」

夢で良かった。本当に。さあ学校に行こう。

   ◆◆◆

熊「ごめん、俺が間違ってた」
友達「何の話や。順を追って説明しろ」

熊の毎日は続く
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テーマ : オリジナル小説
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