ネゴシエイター桃太郎4

桃から生まれた桃太郎。
彼が犬、サル、キジの三匹をお供に、鬼退治をした昔話はあまりに有名である。

民を苦しめていた鬼を退治したことは立派なことだ。だが、なによりもすごいのは、たったきび団子一個で三匹にそんな危険な仕事をさせたことである。

桃太郎、彼の真の武器は勇気では無かった。
彼の武器は話術とコネ。どんな難題も口先で解決する。そんな彼のことを皆は交渉人(ネゴシエイター)と呼んでいた。

   ◆◆◆

キジが大変なことになった次の日――

犬「……」

僕は逃げ出していた。ていうかそれが普通だと思う。あんなヤバい職場、長居出来るわけがない。

犬(きびだんご一個であんなん、ありえへんわ……)

哀れキジ&サル。君達のことは忘れない。たぶん。

犬「……」

さて、これからどうするか。とりあえず家に帰るか。

犬(でも……その前に何か食べたいな。お腹空いた)

今日は朝から何も食べてない。きびだんごはもらったその日に食べちゃったし。

犬(……一度戻って、夕食をいただいてから、また逃げよう)

恐怖よりも食欲が勝ってしまう悲しい生き物であった。

犬(メシはちゃんと出るんだよな。給料は出ないけど)

犬(でも、やっぱり怒ってるだろうな……戻ったらその場で即改造、とかあるかもしれん)

なんか言い訳を考えておこう。

犬(うーん……なんて言おう)

道に迷ってました、すいませーん、っていう感じでしれっと戻ればいいか。

犬(よし、完璧だ!)

一分の隙も無い言い訳だ!

そんなことを思った直後――

桃太郎「おい」

犬「はうわ!?」

突如背後から飛んで来た雇い主の声に、犬は素っ頓狂な声を上げながら飛び上がった。

犬「も、もももももも、桃太郎さん?!」

桃「驚きすぎだろう、少し落ち着け」

犬「ど、どうしてここに?!」

桃「それはこっちが聞きたいな」

犬「いや……僕は、その……ほら、アレ……あの……そう! 散歩ですよ! 散歩!」

桃「散歩? 朝から姿をくらましてこんな時間まで散歩とは、よほど好きなんだな」

犬「あー、いや、それは……ちょっと道に迷っちゃいまして……」

桃「迷った? それは無いだろう。ここは逃げた場所からそう遠くない。この距離なら鼻が利くはずだ」

犬(しまったー! そういえば僕は犬だったー!)

このよく利く鼻が恨めしい!

桃「本当は逃げたんだろ? 正直に言っていいんだぞ?」

犬(あわわわわわわわわ)

完璧な言い訳を一瞬で看破されてしまった犬!
絶体絶命のピンチだ!
どうする犬! どうなる犬! やっぱり改造されてしまうのか?!

次回に続く
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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こんにちは。

ネゴシエイター桃太郎…このシリーズ、好きです。
確かに冷静に考えてみれば、高々きびだんごひとつで野生動物を従えられるほど、世の中は甘くない(笑)
とはいえ、大前提としてまず言葉が通じなければ、交渉も何もあったものではありませんが。
やはり御伽噺はファンタジー色が強いです。

そして、突然の申し出で大変恐縮なのですが、リンクさせていただいてもよろしいでしょうか…?
不都合等ございましたら遠慮なく仰ってください。

それでは失礼しました。

Re: こんにちは。

> そして、突然の申し出で大変恐縮なのですが、リンクさせていただいてもよろしいでしょうか…?
> 不都合等ございましたら遠慮なく仰ってください。
>
> それでは失礼しました。

リンクの申し出ありがとうございます。当方は問題ありません。
ネゴシエイターは完結までの形が出来ているので頑張りたいと思います。
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稲田 新太郎

Author:稲田 新太郎
音楽好きな物書き。ゲームも好き

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