ドラゴンさん

ドラゴンさん


司会「さあー今日も始まりました。動物たちとの愉快な一時間をお送りする番組、『アニマルパーティ』!」

司会「今日のゲストはなんと! あの伝説の生物、ドラゴンです!」

司会「さあ、早速登場してもらいましょう!」

スタジオにどこかで聞いたテーマ音楽が流れ始める。



そして、カーテンが上がった。

その奥から、黄色と黒のスーツに身を包んだ一匹のドラゴンが姿を現した。

その手にはヌンチャクが握られていた。
 
ドラゴン「……」
司会「……」
ドラゴン「……」
司会「あの」
ドラゴン「……」
司会「あれ?」

司会は慌てて駆け寄り、小声で話しかけた。

司会「(小声)ちょっと、台本通りやってもらわないと困りますよ! 『それ燃えよドラゴンやないか~い』っていうベタベタなツカミで行くって言ったでしょ!」
ドラゴン「……」
司会「(小声)ちょっと、何とか言ってくださいよ! どうしたんですか!」
ドラゴン「いや、なんか……違うなって」
司会「違うって、何が?」
ドラゴン「なあ、ワシ、動物っていうカテゴリーに入るかな?」
司会「いや……入ると思いますよ?」
ドラゴン「ワシって神話生物とか、魔法生物とかそういうカテゴリーじゃないかな?」
司会「いやぁ~……動物に含まれると思いますよ?」
ドラゴン「ワシがいけるんやったら、モ○スターハ○ターの方達とか、ポケモ○とかもいけるってことになってしまうんちゃうん?」
司会「いや、そんなヤバイ面子が呼ばれることは絶対無いと思いますけど」
ドラゴン「ワシ、悩んでんねん。このままでええんかなって」
司会「え?」
ドラゴン「ワシ、仕事に貴賎無しって考えをポリシーに、今まで何でもやらしてもらってきたけど、考え方を変える時期が来てるんちゃうかなって」
司会「というと?」
ドラゴン「ワシ、最近軽く扱われすぎちゃうかな?」
司会「軽くって、どういうことです?」
ドラゴン「そのままの意味や。ドラゴンっていうたら、昔は恐れ敬われる存在やったんや」
司会「あ~、なるほど」
ドラゴン「それが最近はどうや! ちょい役、かませ、雑魚、主役を運ぶだけのタクシー、もう無茶苦茶や! ただのでかいトカゲやんけ!」
司会「言われてみればそうですねえ」
ドラゴン「ワシ、正直つらいねん。でも、沈んでてもあかんから、自分を変えていこう思ってるねん」
司会「そのお気持ちわかります」
ドラゴン「もう、火吹きながら空飛べるだけじゃ駄目なんちゃうかなって、限界なんちゃうかなって思ってる」
司会「なるほど……」
ドラゴン「……」
司会「……ドラゴンさん」
ドラゴン「ん?」
司会「コツコツ、コツコツですよ」
ドラゴン「え?」
司会「ゆっくり行きましょう! 一歩ずつ、着実に芸を磨いていくんです!」
ドラゴン「……」
司会「最初はつらいかもしれないですけど、やっぱり一番大事なのはそういうことやと思うんです!」
ドラゴン「……」
司会「……」
ドラゴン「……そやな……そうやな! 少しずつ積み上げていくしかないんや!」
司会「そうですよ!」
ドラゴン「ワイはやるで!」
司会「その意気ですよ! じゃあ、最初からもう一度撮りなおしましょう!」
ドラゴン「よっしゃ!」

スタジオにどこかで聞いたテーマ音楽が流れ始める。
ドラゴン「ホアチャア~~!」
司会「それ燃えよドラゴンやないかーい!」
ドラゴン「ごめん、これやっぱなんか違う!」
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