話せない 外伝

アカシマシラヒゲエビ

俺はエビだ。ちっちゃなエビだ。

今、俺は人間に飼われている。

環境は快適だ。
俺の飼い主は水槽の水質をこまめにチェックしてくれる。
だからか、病気になったことは一度も無い。

そんなに気を使ってくれてるのに、こんな事を言うのは失礼なのかもしれないが、俺はいまある不満を抱えている。

メシがまずくなったのだ。
理由は知らないが、先週くらいからメシが変わった。これが本当にまずい。

前のメシに戻してほしい。
だが、それを伝える手段が無い。

だから俺は飼い主のことを無視することにした。

わざと飼い主に対して尻を向け、目を合わせないようにする。

……チラッ

飼い主「<●> <●> ジーッ」

ふふふ、見てる見てる。尻しか見せてくれないことに悲しみを背負うがいい!

だが直後、飼い主は俺と目を合わせるかのように正面に回りこんできた。

慌てて背を向ける。

また回り込んできた。

背を向ける。

また回り込んできた。

いいかげんにしろ! 俺は地を蹴り、すばやく物陰に隠れた。

飼い主「……」

ふふふ、ここならどうやっても俺の姿を見ることはできまい。

だが次の瞬間、飼い主は驚きの言葉を吐いた。

飼い主「よく動いてる。元気そうやな。エサを変えてからちょっと心配やったんやけど、これなら大丈夫か」

そう言って、飼い主は水槽の前から去っていった。

エビ「……え?」

違う違う、そうじゃない。エサを変えてほしいということを察して欲しかったの!

しかし時既に遅し。飼い主はもういない。

そして、暫くして飼い主は戻ってきた。

その手にはあのマズイエサが握られていた。

エビ「オーマイガー!」
スポンサーサイト

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

稲田 新太郎

Author:稲田 新太郎
音楽好きな物書き。ゲームも好き

アクセスカウンター
(14/01/05設置 ユニーク数)
カテゴリ
最新記事
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
160位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ファンタジー
3位
アクセスランキングを見る>>