魚と針4
2014.04.11 Fri
魚A「あ~、また振られたわ~」
魚A「俺の何があかんねん」
魚A「やっぱ顔か、顔なんか」
魚A「はあ~、彼女欲しい」
その時、魚Aは海中に漂う妙なものを見つけた。
魚A「……? え? 何コレ?」
魚A「……ラブレター?」
魚A「まさか俺に? 誰が?」
ふらふらと、吸い寄せられるように魚Aがそのラブレターに口を近づけると、
魚A「ん? ちょっと待って。なに、このとんがったものは」
きらりと、輝く鋭利な針のようなものが目に入った。
魚A「これは、もしや……釣り、というやつかな?」
魚A「いや、でも……こんなバレバレな釣り、するやつおらへんやろ」
魚A「これは、やっぱりあれじゃないか? サプライズ的な、遠まわしの告白、というか……」
魚A「いや、でも……針がついてるのはやっぱりおかしいよな……」
魚A「いやしかし、この出会い、とても偶然とは……だがしかし……! しかぁーしぃ!」
魚Aは覚悟を決めたかのように目をカッと見開き、
魚A「虎穴に入らずんば虎子を得ず! 危険を冒さずして、彼女ができるかあ!」
ラブレターに向かって大きく口を開けながら飛び掛った。
しかし、その瞬間!
?「ちょっと待ったぁーー!」
一匹の魚が場に割り込んできた。
魚B「そのラブレター、俺宛だから!」
その突然の主張に、魚Aはあきれた。
魚A「はい?」
魚B「だから、そのラブレター、俺のだから!」
魚A「はあ? 意味わからんわ」
魚B「この伝説の釣り針の下で待ってます、って昨日夢の中で言われたから!」
魚A「お前の夢の話なんか知るか!」
魚B「その証拠に、ホラ……」
魚Bは言いながらラブレターを持ち、裏面に何かを書いた。
魚B「証拠に、『あつし様へ』って裏に書いてるやろ?」
魚A「今書いたろ! バレバレやぞ!」
魚B「なんと言おうと、もう俺の名前が入っている以上、俺のですー」
魚A「小学生か!」
魚B「何とでも言え! 俺は彼女が欲しいんや!」
魚A「俺も欲しいんじゃ! それを返せ! 今すぐ!」
二匹は取っ組み合いになり、それはすぐに殴り合いに発展した。
……
魚A「……勝ったどーーー!」
魚B「(気絶)」
魚A「じゃあ早速、中身を……」
プスリ その時、針が魚Aのヒレに深々と食い込んだ。
魚A「あ」
◆◆◆
ホッケ内 はやと 享年2歳
所詮魚類。頭は弱いのだ。
魚A「俺の何があかんねん」
魚A「やっぱ顔か、顔なんか」
魚A「はあ~、彼女欲しい」
その時、魚Aは海中に漂う妙なものを見つけた。
魚A「……? え? 何コレ?」
魚A「……ラブレター?」
魚A「まさか俺に? 誰が?」
ふらふらと、吸い寄せられるように魚Aがそのラブレターに口を近づけると、
魚A「ん? ちょっと待って。なに、このとんがったものは」
きらりと、輝く鋭利な針のようなものが目に入った。
魚A「これは、もしや……釣り、というやつかな?」
魚A「いや、でも……こんなバレバレな釣り、するやつおらへんやろ」
魚A「これは、やっぱりあれじゃないか? サプライズ的な、遠まわしの告白、というか……」
魚A「いや、でも……針がついてるのはやっぱりおかしいよな……」
魚A「いやしかし、この出会い、とても偶然とは……だがしかし……! しかぁーしぃ!」
魚Aは覚悟を決めたかのように目をカッと見開き、
魚A「虎穴に入らずんば虎子を得ず! 危険を冒さずして、彼女ができるかあ!」
ラブレターに向かって大きく口を開けながら飛び掛った。
しかし、その瞬間!
?「ちょっと待ったぁーー!」
一匹の魚が場に割り込んできた。
魚B「そのラブレター、俺宛だから!」
その突然の主張に、魚Aはあきれた。
魚A「はい?」
魚B「だから、そのラブレター、俺のだから!」
魚A「はあ? 意味わからんわ」
魚B「この伝説の釣り針の下で待ってます、って昨日夢の中で言われたから!」
魚A「お前の夢の話なんか知るか!」
魚B「その証拠に、ホラ……」
魚Bは言いながらラブレターを持ち、裏面に何かを書いた。
魚B「証拠に、『あつし様へ』って裏に書いてるやろ?」
魚A「今書いたろ! バレバレやぞ!」
魚B「なんと言おうと、もう俺の名前が入っている以上、俺のですー」
魚A「小学生か!」
魚B「何とでも言え! 俺は彼女が欲しいんや!」
魚A「俺も欲しいんじゃ! それを返せ! 今すぐ!」
二匹は取っ組み合いになり、それはすぐに殴り合いに発展した。
……
魚A「……勝ったどーーー!」
魚B「(気絶)」
魚A「じゃあ早速、中身を……」
プスリ その時、針が魚Aのヒレに深々と食い込んだ。
魚A「あ」
◆◆◆
ホッケ内 はやと 享年2歳
所詮魚類。頭は弱いのだ。
魚と針3
2014.04.09 Wed
魚A「あ~、腹減ったな~」
魚B「ほんまやな~」
魚A「なんか食えそうなもの、無いかなー」
魚B「腹減ったで思い出したんやけどさ」
魚A「ん?」
魚B「最近、この辺りで『釣り』の被害にあったやつがおるみたいやで」
魚A「え? 『釣り』?」
魚B「そうそう」
魚A「『釣り』って、あの『釣り』? 針を口にくわえさせて引っ張りあげるっていう」
魚B「そうそう」
魚A「嘘やん!」
魚B「ほんまほんま」
魚A「いやいや! そんなんありえへん! どこの馬鹿がそんなもんに引っかかるねん」
魚B「嘘じゃないって」
魚A「『釣り』とか都市伝説やろ。子供でもひっかからへんで、そんなもん」
魚B「いや、ほんまやって。こんなこと嘘ついてどないすんねん」
魚A「はいはいわかったわかった。あ~、腹減ったわ~」
魚B「全然信じてないやろ」
その時、魚Aは海中に泳ぐミミズのようなものを見つけた。
魚A「お! 食い物発見! いただきま――」
魚B「待て待て待て待て!」
魚A「なんやねん」
魚B「これ、なんかおかしくない?」
魚A「どのへんが?」
魚B「なんかとんがったものが、針みたいなもんついてね?」
魚B「……な? これ怪しいって!」
魚A「え~、そうかなあ~?」
魚B「いやいや、お前なに言うてんねん! どう見ても怪しいやろ!」
魚A「あ、もしかして~」
魚B「なんや、その勝ち誇ったような顔は。むかつくぞ」
魚A「俺に食われるのが悔しいんやろ? だからそんなこと言うてるんやな?」
魚B「へ?」
魚A「そうならそうと、素直に言えって」
魚B「はあ?」
魚A「わかったわかった。これはお前に譲ってやる。俺も腹減ってるけど、俺は心広いからな」
魚B「はあ?! アホか! どう見ても釣りやろ! これは!」
魚A「だから、釣りなんて都市伝説やって」
魚B「はいはい、もうええわ。それなら好きにせえや。俺は帰るわ」
魚A「え? 食べへんの? 遠慮せんでええんやで?」
魚B「誰が食うか! じゃあな!」
そう言って魚Bは場を去っていった。
魚A「すねて帰ってしもた。子供やなー」
魚A「それじゃあ、いただきまーす」
◆◆◆
ホッケ中 ひろし 享年2歳
魚B「ほんまやな~」
魚A「なんか食えそうなもの、無いかなー」
魚B「腹減ったで思い出したんやけどさ」
魚A「ん?」
魚B「最近、この辺りで『釣り』の被害にあったやつがおるみたいやで」
魚A「え? 『釣り』?」
魚B「そうそう」
魚A「『釣り』って、あの『釣り』? 針を口にくわえさせて引っ張りあげるっていう」
魚B「そうそう」
魚A「嘘やん!」
魚B「ほんまほんま」
魚A「いやいや! そんなんありえへん! どこの馬鹿がそんなもんに引っかかるねん」
魚B「嘘じゃないって」
魚A「『釣り』とか都市伝説やろ。子供でもひっかからへんで、そんなもん」
魚B「いや、ほんまやって。こんなこと嘘ついてどないすんねん」
魚A「はいはいわかったわかった。あ~、腹減ったわ~」
魚B「全然信じてないやろ」
その時、魚Aは海中に泳ぐミミズのようなものを見つけた。
魚A「お! 食い物発見! いただきま――」
魚B「待て待て待て待て!」
魚A「なんやねん」
魚B「これ、なんかおかしくない?」
魚A「どのへんが?」
魚B「なんかとんがったものが、針みたいなもんついてね?」
魚B「……な? これ怪しいって!」
魚A「え~、そうかなあ~?」
魚B「いやいや、お前なに言うてんねん! どう見ても怪しいやろ!」
魚A「あ、もしかして~」
魚B「なんや、その勝ち誇ったような顔は。むかつくぞ」
魚A「俺に食われるのが悔しいんやろ? だからそんなこと言うてるんやな?」
魚B「へ?」
魚A「そうならそうと、素直に言えって」
魚B「はあ?」
魚A「わかったわかった。これはお前に譲ってやる。俺も腹減ってるけど、俺は心広いからな」
魚B「はあ?! アホか! どう見ても釣りやろ! これは!」
魚A「だから、釣りなんて都市伝説やって」
魚B「はいはい、もうええわ。それなら好きにせえや。俺は帰るわ」
魚A「え? 食べへんの? 遠慮せんでええんやで?」
魚B「誰が食うか! じゃあな!」
そう言って魚Bは場を去っていった。
魚A「すねて帰ってしもた。子供やなー」
魚A「それじゃあ、いただきまーす」
◆◆◆
ホッケ中 ひろし 享年2歳