熊さん7

熊さん

俺は熊。高校生だ。

今日は友達の家でゲームをやっている。
 
いや、やっているっていうのは正確じゃなかった。友達がやっているのを見ているだけだ。
一人用のゲームだからな。しょうがない。

友達がやっているのは冒険物のロールプレイングゲーム。
勇者が魔王を倒しに行くっていうお約束のあれだ。

そして今、友達は酒場で仲間を集めている。
名前と職業はもちろん、能力値も自由に決められる。

友達「一人目の仲間は……無難に戦士にしとくか」
熊「……え!?」
友達「いきなりなんや? どうした?」
熊「なんで戦士に俺の名前つけてるの?」
友達「え? なんでって……そりゃあお前は戦士やろ」
熊「俺そんなイメージなん!?」
友達「なんで驚いてるの? そりゃあ戦士やろ」
熊「いやいやいや。ないない」
友達「ああ……じゃあ、武闘家か?」
熊「え!? 俺ってパワータイプってイメージを持たれてるの!?」
友達「え!? パワータイプじゃなかったらなんなの!?」
熊「ワイは魔法使いやろ!」
友達「はあ? 魔法使い? ないない。おかしい」
熊「なんでや! ワイは頭脳派やぞ! 腕力より頭で勝負するタイプじゃ!」
友達「一応聞くけど、その根拠はなんや」
熊「ワイ自分で言うのもあれなんやけど、頭ええで? お前より成績ええやろ?」
友達「まあ、それは確かにそうやけど。でもお前、頭の良さより腕力の強さのほうが目立ってるで?」
熊「いやいや、ワイ、腕力は弱いで? もやしっ子や」
友達「どこがや!」
熊「いや、本気でもやしっ子やで。ワイ、熊にしては筋肉ないで」
友達「それは熊の中での話やろ。人間と比べたら圧倒的に強いやないか」
熊「そら人間と比べたらそうやけど……あかん、納得いかん。とにかく魔法使いにして」
友達「わかったわかった。めんどくさいなあ」

友達はやれやれといった表情で職業と能力値を設定しなおした。

熊「いやいやいや、待て待て。おかしいおかしい」
友達「今度はなんや。ちゃんと魔法使いにしたやろ」
熊「能力値の振り方がおかしいやろ! なんで魔法使いやのに筋力に全振りなんや! 肝心の魔力はゼロやないか!」
友達「いや……イメージどおりやろ。これが正解やで」
熊「そんな魔法使いありえんやろ! 魔力ゼロじゃ魔法使えんやないか!」
友達「でも、パワーはあるで?」
熊「魔法使いなのに、拳で勝負すんのか!?」
友達「いや……ええやん。個性があって。頑張ればいつかは伝説の魔法使いとして名を残せるで?」
熊「拳で伝説作る魔法使いなんておかしいやろ!?」
友達「あーもうめんどくさい。これで決定な」

友達はその設定のままキャラメイクを完了した。

熊「うわ、信じられへん。こんなありえん設定のままいきよった」
友達「まあ、これでやってみようや。意外といけるかもしれんで?」

……

結局、その武闘派魔法使いは期待に応えることが出来ず、死にまくった。
パワーはあっても、他がダメすぎる。

友達「全然役に立たんな」
熊「当たり前やろうが!」
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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稲田 新太郎

Author:稲田 新太郎
音楽好きな物書き。ゲームも好き

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