熊さん15

熊さん

俺は熊。高校生だ。

その日、俺は思い切って友達に悩みを打ち明けることにした。

熊「なあ、ちょっと聞いてくれるか」
友達「いやや。めんどくさい」

2秒で終わった。俺達の友情しょぼすぎ。

熊「そんなこというなや。とりあえず聞けって」
友達「しゃあないな。じゃあ30文字でまとめてくれ」
熊「30で?!」
友達「うん」
熊「いや……30は……ちょっときついかな~」
友達「じゃあナシで」
熊「……わかった。ちょっと考えるから待って」
友達「……はよ」
熊「……ばあちゃんボケた↑♪ 兄貴が介護↑♪ イェア! 俺どうしよう!♪ どうすればいい?♪ わからない!♪ YO↑ YO!↑」
友達「……なんでヒップホップにした? しかも30文字越えてるやん」
熊「将来ヒップホップで食っていこうかなと思ってるから」
友達「ヒップホップで?!」
熊「嘘に決まってるやろ。要はばあちゃんの介護で兄貴が大変なことになっとんねん」
友達「その説明だけでええやん! ヒップホップにする必要一切無いやん! 30文字以内で簡潔にまとまってるやん!」
熊「それで、ワイはそんな兄貴にどうしたらいいと思う?」
友達「……どうしたらいいかはまだわからん。もっと詳しく説明してくれ。なにが大変なんや」
熊「仕事との両立が大変なんや。兄貴が住んでる職場の寮からばあちゃんの家は結構な距離があるし。往復だけでもしんどいって言ってた」
友達「……それは厳しいな。今の仕事をやめて引っ越せば、なんて軽はずみなことは言えんし。……正直、赤の他人でただの学生の俺が正解を出せることでは無いような気がするぞ」
熊「チャラいお前に人生の分岐を決めてもらおうなんて思ってないし、期待もしてないから安心してくれ。ぶっちゃけ誰かに聞いてほしかっただけやし」
友達「割とマジでひどいこと言ってね? 怒っていい? 俺、怒っていいよね?」
熊「ごめんごめん。冗談冗談」
友達「……老人ホームとか、あの、介護施設? とかいうやつには入れんのか?」
熊「全然空きが無いって。どこも一杯みたいや」
友達「兄貴以外に誰か頼れる人はいないの?」
熊「……いないことはない、けど」
友達「けど?」
熊「多分、いい返事はもらえんと思う」
友達「なんで?」
熊「……その原因はばあちゃんにあんねん」
友達「ばあちゃんの何が問題なんや」
熊「うちのばあちゃんは性格が荒いんや。すぐに手が出る。その正確のせいでばあちゃんは一人暮らしになった。そしてボケた今でもその気質は変わってない。だから兄貴以外の誰も世話をしたがらんねん。その兄貴もイヤイヤでやってる」
友達「……」
熊「それを見てワイは思ったんや」
友達「思ったって、なにを?」
熊「これは人生の縮図なんやなって」
友達「縮図?」
熊「そうや。老いて、力が無くなって、どうしようもなくなったその時、どう扱われるかにその者の人生が現れるねん」
友達「……」
熊「金があれば人を雇えたかもしれん。金が無くともそれまでの行いが善ければ、世話をしてくれる人が現れたかもしれん。……やけど、ばあちゃんにはそういうものが何も無かった。金遣いの荒い乱暴者の終わり方なんてそんなものなのかもしれん」
友達「確かに、それはその通りかもしれんな」
熊「……ワイはまだ若いけど、ちょっと不安やわ。ワイ、性格悪いし」
友達「自分のことをよくわかってるな」
熊「うるさいわ」
友達「……まあでも、そうやな、真剣に考えれば俺も不安やわ。もし、どうしようもなくなってしまった時、誰にも迷惑をかけずに静かに自分を終わらせる度胸なんて、全然無い」
熊「……」
友達「……」
熊「……だからな、ワイは帝王を目指すことにした」
友達「……え? 今なんつった? 帝王?」
熊「そうや帝王や。皇帝でもいい」
友達「……一応聞くけど、なんで?」
熊「老後ためにきまっとるやろ! 帝王になれば老後の心配なんていらへん! 周りの連中全部アゴで使って世話させれるやん! 権力で老後という脅威をねじ伏せたるねん!」
友達「またアホなことを言い始めたな」
熊「確かに帝王は大げさかもしれん。もうちょっと現実的な役職を狙っていくわ」
友達「え? マジで言ってんの?」
熊「そうや。そのための努力を明日から、いや、今この瞬間から始める!」

そう言って熊は一冊の本を取り出した。
表紙には「熊でもわかる帝王学」と書いてある。

友達「……お前、本物のアホなんじゃね?」

あきれる友達をよそに、本にかじりつく熊。

しかし友は気付いていなかった。
この瞬間から伝説が始まったのだ!

次回から新章『覇道編』がスタート!
熊が破竹の勢いで帝王の座へかけあがる物語を描く!










うそです
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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稲田 新太郎

Author:稲田 新太郎
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