熊さん3

熊さん


俺は熊。高校生だ。
いま友達と高校卒業後の志望について話している。
友達「なあ熊、お前もう志望決めた?」
熊「……」
友達「俺は大学行くことにしたわ。就職でも良かったんやけど、親が大学行けってうるさくてなあ」
熊「俺の志望はパンダや」
友達「パンダか。まあお前の成績やったら無難、って待てや。なんや、パンダって」
熊「パンダはパンダや」
友達「確認さしてほしいんやけど、パンダって白黒のあれか?」
熊「他に何があんねん」
友達「お前パンダになりたいの?」
熊「そうや」
友達「なんで?」
熊「楽やん」
友達「どういうことや」
熊「あいつら一日中ごろごろして笹食ってるだけやん」
友達「ああ、まあ、そうかもしれんな」
熊「めっちゃうらやましいわ」
友達「そうか?」
熊「羨ましくないんか? 一生遊んで暮らせるんやで?」
友達「そら……まあ」
熊「せやろ? 一日のスケジュールが食う寝る遊ぶだけやで? こんな素晴らしいことがあるか?」
友達「いや、まあ、素晴らしいかどうかは人それぞれちゃうか」
熊「あー、ほんまにパンダになりたい」
友達「でもお前、熊じゃん。無理やろ」
熊「なんでや。白く塗るか脱色すればいけるやろ」
友達「いやいや、そういう問題じゃないで」
熊「じゃあ、何が問題なんや」
友達「客を騙してるやん」
熊「そんなん些細な問題やろ」
友達「いや、全然些細じゃないよ」
熊「いや、一番重要なのはどれだけお客様に対して愛嬌を振りまけるかやろ」
友達「違う違う」
熊「俺、自信あるで? 愛嬌やったらなんぼでも振り撒くし、誠意も忍耐力もあるで。完璧な逸材やろ、これは」
友達「いや、相手騙してる時点で誠意もクソもないで」
熊「あー、ほんまにパンダになりたい」
友達「人の話聞けや。志望書の提出近いし、ちゃんと考えたほうがええで」
熊「ちゃんと考えてパンダなんやけどなあ」

   ***

結局、熊は第一志望に「パンダ」とだけ書いて書類を提出した。

担当教師「……熊、志望のことなんやけど」
熊「はい、僕、パンダに」教師「まだ迷ってるみたいやな。まあ、お前は成績は悪くないし、心配は無いと思うけどな」
熊(完全に無視されとる……)
教師「○○大学とかどうや? お前なら推薦でいけるぞ」
熊「え、推薦っていうと、あの試験受けなくてもいい、あれですか?」
教師「そうや」
熊「あ、じゃあ、それで」

楽な道しか見えぬ熊であった。
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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稲田 新太郎

Author:稲田 新太郎
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