アニマルパーティー4 トナカイさん

司会「さあー今日も始まりました。動物たちとの愉快な一時間をお送りする番組、『アニマルパーティ』!」

司会「クリスマスということで! 今日のゲストはなんと! あのサンタのソリを引いていたトナカイさんです!」

司会「さあ、早速登場してもらいましょう!」

カーテンが上がる。

トナカイさん

その奥から、一頭のトナカイが姿を現した。

トナカイ「どうもトナカイです。今日は呼んでくれてありがとう」
司会「サンタさんのソリを引く仕事をされていたそうですが、今日は是非そのあたりの話を詳しく聞かせて頂きたいです」
トナカイ「最近のことはよくわからないけどね。定年退職して十年経つし」
司会「それでもみんな知りたがってますよ。なんたってあのサンタさんですから」
トナカイ「私に答えられることならなんでも話すよ。何が知りたい?」
司会「じゃあ……サンタさんがプレゼントを送る家って、どういう基準で選ばれてるんですか?」
トナカイ「それは私も詳しくは知らないんだが……経験上、子供らしい純粋な願いが込められた家が選ばれてる感じかな」
司会「子供らしい純粋な願いですか。難しいですね」
トナカイ「でも、基準はそれだけっぽくて、選ばれる場所は無差別らしくてね」
司会「え? じゃあ、危ない場所とかも選ばれたりするんですか?」
トナカイ「そうだね」
司会「大変な仕事なんですね。自分、ちょっと甘く見てました」
トナカイ「最近は防犯システムも優秀になってきたからどんどん難しくなってきてるよ」
司会「ああ、やっぱりそうなんですね」
トナカイ「トナカイも昔はソリを引くことだけが仕事だったんだけど、最近は現地の事前調査とか、無線を使った後方支援とかもやってるよ」
司会「無線を使った後方支援?! それ、どんな感じなんですか?!」
トナカイ「どんな感じと言われても……あらかじめ仕掛けておいた盗聴器とかから拾った敵の位置とかの情報を、サンタさんに知らせたりするんだよ」
司会「敵?! 盗聴器?! なんですかそれ?! ちょっと、この場で実演して見せてもらえませんか?」
トナカイ「実演はちょっと難しいな。二人一組じゃないと出来ないし」
司会「あ、じゃあ僕がサンタ役やります!」
トナカイ「……わかった。じゃあ軽く台本書くから、この通りに喋って」

数分後――

司会「(無線機を口にあてる仕草をしながら)侵入に成功した。どうぞ」
トナカイ「こちらでも確認した。予定された経路に沿って進んでくれ」
司会「了解した」
トナカイ「そこで止まれ。通路の角の奥に見張りがいる」
司会「了解。待機する」
トナカイ「見張りが動き始めた。こちらに向かって歩いてきている。コンタクトまで……3、2、1!」

司会「ここで終わり?! 続きがすごく気になるんですけど! ていうか、なんですかこれ?!」
トナカイ「これはある軍施設で仕事した時の会話だよ」
司会「軍施設?!」
トナカイ「今だから話せるんだけど、国際問題になりかけたよ」
司会「そりゃそうなりますよ! その話、もっと詳しく聞かせてくださいよ!」
トナカイ「残念だけど途中からジャミングされたから無線会話はあまり残ってないんだ。でも閃光手榴弾を使った仕事はあれが初めてだと、サンタさんが言ってたよ」
司会「閃光手榴弾?! そんなもん持ち歩いてるんですか!?」
トナカイ「普段はそんなもの装備しないよ。選ばれた場所が軍施設だから、やむなくだよ」
司会「あれ? そういえばなんで軍施設が選ばれたんですか? 子供らしい純粋な願いが込められてないと駄目なんですよね? どんなお願いだったんですか?」
トナカイ「長靴一杯のチョコレートバーだよ」

チョコレート

司会「チョコレートバー? 軍人がなんでそんなものを?」
トナカイ「後で知ったんだけど、その地域は貧しくてね。周辺の子供達にチョコレートバーをプレゼントしたい、っていう願いが込められてたらしいんだ」
司会「ああ、なるほど~。いい話ですね~」

この時は本当にそう感じた司会であったが、後でよく考えてみたら、子供達の家に直接チョコレートバーを配れば何も問題にならずに済んだんじゃないのか、と思ってしまった司会であった。
スポンサーサイト

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

No title

閃光手榴弾使うサンタさん(笑)
確かに近代化されていくと忍び込むのも大変そうだよねえ。
玄関先にプレゼント置いていくと爆弾テロと間違われそうだし、セ〇ム取り付けてる家多そうだし、煙突ある家がそもそもなさそうだけど、燃えかすの木とかで焼けそうだし(・ω・)

司会者のツッコミとカメラ目線なトナカイ写真ぐっじょぶ☆

Re: No title

> 閃光手榴弾使うサンタさん(笑)
> 確かに近代化されていくと忍び込むのも大変そうだよねえ。
> 玄関先にプレゼント置いていくと爆弾テロと間違われそうだし、セ〇ム取り付けてる家多そうだし、煙突ある家がそもそもなさそうだけど、燃えかすの木とかで焼けそうだし(・ω・)
>
> 司会者のツッコミとカメラ目線なトナカイ写真ぐっじょぶ☆

ありがとうー。

どんなに防犯システムが発達しようとも、隠密性ゼロの赤い服で仕事をしなければならないのがサンタさんの一番つらいところですな。
プロフィール

稲田 新太郎

Author:稲田 新太郎
音楽好きな物書き。ゲームも好き

アクセスカウンター
(14/01/05設置 ユニーク数)
カテゴリ
最新記事
フリーエリア
17/02/27