熊さん14

熊さん

俺は熊。高校生だ。

俺は今教室で友達と夏休みの計画について話している。

熊「お前、夏休みはどうするつもりなんや」

友達「え? うーん、特に決めてないけど、まあ、去年と同じで海の家でバイトすると思うわ」

この答えに、熊は大げさに手と首を振りながら口を開いた。

熊「かーっ! 話にならへん! 軟弱すぎるで!」

友達「いきなりなんやねん。軟弱って言いたいだけちゃうんか。じゃあ、逆に聞くけど、お前は何するつもりなんや?」

熊は遠い目をしながら答えた。

熊「……ワイは旅に出る」

かっこよく決めたつもりであったが、友達の反応は素っ気無いものであった。

友達「旅? ああ、そう。まあがんばって」

熊「なんやその淡白な反応は! もっとなんかあるやろ! 『マジで!?』とか、『かっこいいな!』とか!」

友達「いや、そんな驚くわけないやん……またかよって感じやし」

熊「今度は違う。本気や」

友達「はあ、まあ、旅に出るのはええとして、どこに行くつもりなんや?」

熊「当てなんて無い。これは修行なんや。世の中の様々な風土に触れて己を磨きなおす、そんな冒険なんや」

友達「ああ、そう。まあがんばって」

   ◆◆◆

数ヶ月後――

熊の姿は養蜂場にあった。

蜂の世話をし、蜜を回収する、そんな仕事を行っていた。

農園主「お疲れ様。今日はもう上がっていいよ」

熊「え、まだ後始末が残ってるじゃないですか。やりますよ」

農園主「いいよいいよ。僕がやっとくから。今日はもう帰って休みなよ」

熊「そうですか、わかりました。今日はこれで失礼します」

農園主「ああ、明日も頼むよ」

   ◆◆◆

借りている部屋に帰ってきた俺は就寝までのこの自由な時間をどう使うか考えた。

まずは洗濯、それから晩飯の準備かな。

……いや、何か忘れているような気がする。なんだろう。

……あ、そうだ。親に連絡してなかった。

家を出て随分経つ。心配しているだろう。手紙でも書くか。
電話のほうが手っ取り早いけど、手紙のほうが風情がある気がする。こういうのは雰囲気が大事なのだ。

早速ペンを手紙の上に走らせる。

熊「お元気ですか。夏ももう終わりですが――」

ペンは軽快に進むが、なぜか心の中がもやもやする。なんかまだ忘れている気がするな。なんだろう。

熊「ああ、そうだ。友達にも手紙を出しておかないとな」

あいつらも心配しているかもしれない。

さらさらと、適当な文章を葉書に書く。

ふう、胸のつかえが取れた。

……いや、まだ取れてない。やっぱり何か忘れている気がする。

……そうだ! 豆腐だ! 明日食べようと思いながら、結局冷蔵庫の中に放置してしまっていた。
賞味期限大丈夫かなー。まあ、二、三日過ぎたくらいなら食えるだろう。

胸が軽くなったのを感じた俺は、早速冷蔵庫を開けた。

   ◆◆◆

数日後――

葉書を受け取った友達は、内容に目を通し、呟いた。

友達「……元気にやってるみたいやな。心配させやがって」

早速返事を書くために葉書を用意する。

……何て書こう。

色々書きたいことはあるが、やはりまずこれを伝えなくてはならないだろう。

そう思った友達は、さらさらと筆を一文走らせた。

『学校、とっくに始まってるぞ。それともうテスト期間に入ってるぞ。』

   ◆◆◆

数日後――

凄まじい勢いで帰ってきた熊は、まず友達に切れた。

熊「なんでもっと早く連絡してくれんのや! テストいつから!?」

完全な逆切れだが、友達は淡白に返事をした。

友達「今日から」

熊「はああああ?!!! なんも勉強してないっちゅうねん!」

予想通り熊は赤点を取った。
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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No title

熊(笑) て思いましたww

テストよりも賞味期限のほうが比重が大きかったんだね!

Re: No title

そうです。熊くんの半分は食欲で出来ているのです

初めまして

面白いですね笑
気になったのですが、友達も熊なんですか?笑

Re: 初めまして

ありがとうございます。嬉しい感想を頂けると励みになります。
友達は人間で、八話では種族の違いによる美的感覚の差をネタにしています。

No title

まず、先日は私のブログを
閲覧して頂きありがとうございました。

熊が登場人物という事で
ワクワクしながら読みましたが、
最後に急いで帰ってくるというところで
声を出して笑いました(笑)

他にも幾つか読ませて頂きましたが
とても面白かったです。 また訪問します。

Re: No title

ありがとうございます

> まず、先日は私のブログを
> 閲覧して頂きありがとうございました。
>
> 熊が登場人物という事で
> ワクワクしながら読みましたが、
> 最後に急いで帰ってくるというところで
> 声を出して笑いました(笑)
>
> 他にも幾つか読ませて頂きましたが
> とても面白かったです。 また訪問します。
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稲田 新太郎

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