内臓会議

早朝、ある会議室にある人間の内臓達が集まっていた。

脳「みなさんお早うございます」

肝臓「おはようございます」

膵(すい)臓「名前は知られてるけど、何してるのかはあまり知られていない膵臓です。おはようございます」

脾(ひ)臓「免疫という重要な機能を管理しているのにあまり知られていない脾臓です。おはようございます」

脳(誰に自己紹介してんだこいつら……)

胃「おはようございます」

腸「……」

脳「そろそろ宿主が起床する時間です。今日も一日頑張っていきましょう」

肝臓「はい」

膵臓「はい」

脾臓「はい」

胃「はい」

腸「……」

脳「……腸さん、どうしたの? なんか機嫌悪そうだけど」

腸「……洪水を起こす」

脳「え?」

腸「洪水を起こすと言っている」

脳「……えーと、それは……下痢になる、ということ?」

腸「そうだ。ノアの箱舟でも白旗を揚げるレベルの濁流を起こす」

脳「……あー、うん、まあ、調子悪いならしょうが無いね。いいよ別に。よくあることだし……あ、下痢になる時間教えてくれる? それまでに対策を立てるから」

腸「45分後だ」

脳「……え? 45分後っていったら……」

腸「そうだ。宿主が通勤電車に乗り込んだ直後だ」

脳「……は?」

腸「一時間かかる満員電車に乗り込んだ直後に過去最大級の下痢を起こす。私はそう言っているのだ」

脳「……はあああああ?! ダメダメダメ! 絶対ダメ! そんなの! 満員電車でそんなん……完全にテロじゃん!」

腸「テロなどと呼ばないで欲しい。これは革命だ。崇高な思想の元に行われる正義なのだ」

脳「アホか! そんな汚い革命があってたまるか! 何が正義じゃ!」

腸「なんと言われても私はやる」

脳「なんで!? なんでそんなことするの!?」

腸「……不満なのだ」

脳「不満?! なにが?!」

腸「私の扱いに対してだ。毎日暴飲暴食。それで私がどれほどの苦労をこうむっていると思っているのか。宿主は私、腸のことを軽視しているとしか思えない。宿主には自愛することを学んでもらう」

脳「……うん、まあ、それは確かに暴飲暴食する宿主が悪いとは思うけど、だからって満員電車で下痢なんて、そんなんダメだよ!」

腸「残念だが計画を中断するつもりは無い」

脳「いやいやいや! ちょっと待って! ちょっと考えてみて! 心臓や肺さんのことを思い出して! 彼らは年中無休で働いてるよ! この会議に出てこれないくらい忙しいよ! でも文句一つ言ってないよ! カッコいい! 見習おう! しんどくても我慢しよう! みんなしんどいから!」

肝臓(心臓さん、この前もう休みたいって愚痴ってたけど……)

畳み掛けるように声を上げる脳に、胃が便乗した。

胃「そうだぞ。文句を言っちゃいけない!」

これに腸は激怒した。

腸「お前にだけは言われたく無い! 中途半端に溶かしたものを送ってくるな! ちゃんと仕事しろ!」

胃「ナンノコトカナー。オレハチャントヤッテルヨー(棒)」

とぼける胃の影で、焦る膵臓の姿があった。

膵臓(やべー。この流れだと消化酵素の分泌をさぼってた俺も責められるんじゃねーの? やべー)

しかし、腸は膵臓の怠慢については知らなかった。

腸「……とにかく、私は現状を打破するために行動する。それだけだ」

膵臓、思わず心の中でガッツポーズ。

膵臓(セーフ! ギリセーフ! 未発覚イコール無罪! イエァ!)

そして、腸は席を立とうしたが、脳がそれを呼び止めた。

脳「だからダメだって! とにかく話合おう! 望みはなんだ! 言ってみろ!」

腸「……まずは給料のアップだ! それと休みを増やせ! 俺を崇めるための銅像を建てろ!」

胃(腸の銅像とか誰が見たがるんだよ。ただのグロ展示場じゃねーか!)

脳「給料アップは譲歩できるけど、銅像とか無理に決まってるだろ! アホか!」

この後、話し合いは平行線を辿り、腸のテロは実行に移されたのだが、正露丸の力によって無事阻止された。
しかし、この事件をきっかけに、のちに内臓労働組合(心臓と肺の参加は不可)が結成されることになったのであった。
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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No title

面白いです!
何度も爆笑してしまいました。
リアルに考えるとシュールなんですが
めちゃくちゃ面白いです!

そして、何気に
>(心臓さん、この前もう休みたいって愚痴ってたけど)
って怖いです(笑)

いや、文章のみで完璧なコメディを作るのって不可能だと思っていたんですが
この作品はそれを成し遂げているどころか
むしろ文章だからできるコメディ(コント)ですよね。
漫画にするとグロすぎるし、
実写化は不可だし(笑)

いや、すごく、面白いものを読ませていただきました!
ありがとうございました!

Re: No title

> 面白いです!
> 何度も爆笑してしまいました。
> リアルに考えるとシュールなんですが
> めちゃくちゃ面白いです!
>
> そして、何気に
> >(心臓さん、この前もう休みたいって愚痴ってたけど)
> って怖いです(笑)
>
> いや、文章のみで完璧なコメディを作るのって不可能だと思っていたんですが
> この作品はそれを成し遂げているどころか
> むしろ文章だからできるコメディ(コント)ですよね。
> 漫画にするとグロすぎるし、
> 実写化は不可だし(笑)
>
> いや、すごく、面白いものを読ませていただきました!
> ありがとうございました!

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稲田 新太郎

Author:稲田 新太郎
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