魚と針2

魚「あ~、腹減ったな~」

魚「なんか食えそうなもの、無いかなー」

魚「お」

魚は海中に泳ぐミミズのようなものを見つけた。

魚「あるじゃ~ん」

魚「それじゃあ、いただきま――」

魚「ん? ちょっと待って」

魚「これ、なんか怪しいな」

魚「なーんか、動きが不自然というか」

よく見ると、針のようなものが見える。

釣り針
 
魚「……」

魚「んーーーーーー……」

魚「まあいいか! 食べちゃおう! 腹が減ってはなんとやらだ!」

魚「じゃあ、いただきまーーー……」

とおりすがりの魚B「あれ、雄一じゃね?」

魚「え?」

魚B「雄一でしょ?」

魚「え? あれ? もしかして、洋介?」

魚B「そうそう!」

魚「うわー、久しぶりだなー。高校以来?」

魚B「そうだなー」

魚「今日はどうしたの? ここにはよく来るの?」

魚B「いや、仕事帰りでたまたま」

魚「え? 今日日曜やのに、仕事やったん?」

魚B「そうなんだよー」

魚「うわー大変やなー」

魚B「ほんましんどいわ。まあ、最近やっと慣れてきたけど」

魚「……」

魚B「……」

魚(やべー、会話が無えー。気まずいー。高校出てから疎遠になったやつと話すことなんてないっちゅうねん!)

魚(まて、考えろ俺。なにかあるはずだ。話術の引き出しを全部開けていけー)

魚「……」

魚(駄目だあー。何も思い浮かばねえー。俺の引き出し、しょぼすぎぃ!)

魚B「……ところでさ、ちょっと気になってるんだけど」

魚「ん?」

魚B「後ろにある、それ」

Bは海中に泳ぐミミズのようなものを指差した。

魚「ああ、これ? んー、なんだろうな?」

魚B「なんかうまそうやね」

魚「え? そう?」

魚B「うん、うまそうに見える」

魚「そうかなあー? なんか微妙じゃない?」

魚B「んー、俺はうまそうに見えるけどなー」

魚「え? もしかして、食うつもり?」

魚B「うん。俺、昼飯まだなんだよねー」

魚「んー、いやー、やめといたほうがいいと思うけどなー」

魚B「えー、なんでー?」

魚「んー、いやー、なんか、腹壊しそうじゃない?」

魚B「そうかなあー」

魚「うん」

魚B「あ、もしかして」

魚「え」

魚B「もしかして、食べるつもりだった?」

魚「え」

魚B「ごめんごめん、それならそう言ってくれればええのに。後から見つけた俺が先に口つけるとか、そりゃあ、あかんよね」

魚「ああ、いやいや、そうじゃないそうじゃない」
(何に見栄を張ってるんだ、俺はー!)

魚B「いやいや、遠慮しないで」

魚「遠慮なんてしてないしてない! いい、いい! 別にいいよ! 俺、お腹空いてないから!」
(何言ってるんだー、俺はー! 俺の馬鹿ー!)

魚B「あ、そう? じゃあお言葉に甘えて」

魚(あああ、食われるー)

魚Bが大きく口を開けたその時、

ピリリリリリリr

魚Bの携帯が鳴った。

魚B「はい、もしもし」

魚B「あ、どうも! ああ、はい、ええ……はい……はい」

魚B「わかりました、すぐに伺います」



魚B「……あー、めっちゃだるー」

魚「え? なに? 仕事?」

魚B「そうや。なんか、急ぎの件らしい」

魚「大変やなー」

魚B「そういうわけやから、俺行くわ」

魚「おう、頑張ってな」

魚B「まあ、適当に頑張るわ。今度、飲みにでもいこうや」

魚「おう」

魚B「んじゃな」

魚Bは適当な飲み約束を交わした後、急ぎ足で場を去っていった。

魚「……」

魚「じゃあ、改めて、いただきまーす」

   ◆◆◆

焼きホッケ

ホッケ山 雄一 享年4歳
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テーマ : オリジナル小説
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稲田 新太郎

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