九十九神3

長く使われた物には命が宿る、という話を聞いた事はあるだろうか。
そのようなものを九十九神と呼ぶらしい。

もし、それが本当だとして――
意思を持った彼らはどのようなことを考えるのだろうか?

それでは、これから彼らの生活を覗いてみよう。
 
   ◆◆◆

前回、人に仇なす九十九神のことを書いた。
今回はそのような歪んだ感情を持つ九十九神がどのようにして誕生するのかをお話しよう。

テレビさん

ここに、今日電器屋で買われたばかりの家電製品(テレビ)がある。

テレビ「今日からこちらでお世話になるテレビです。みなさんよろしくおねがいします」

新しいテレビが先輩の家電製品達に挨拶をする。

だが、先輩達は反応を示さなかった。

何か失礼があったのだろうか、そんな不安をテレビが抱いた時、傍にいたゲーム機が口を開いた。

ゲーム機「ああ、よろしく」

淡白な挨拶に、不安が残るテレビは尋ねた。

テレビ「……あの、自分、何かマズいことしましたかね?」

ゲーム機「ん?」

テレビ「なんか、みなさん気が立っているように見えるもので……」

ゲーム機「ああ、それはお前のせいじゃない。心配するな」

テレビ「何が原因なんです?」

ゲーム機「見ていればすぐに分かる」

見る? 何を? ゲーム機の視線を追う。

そこには古ぼけたレンジがあった。

レンジ「……」

そこへ、弁当を手にした中年女性が歩み寄る。

中年女性はレンジの中に弁当を乱暴に突っ込み、タイマーをセットした。

ブゥーーン……

レンジの中で弁当が回転を始める。

ブゥー……ン……ガガッ

しかし、しばらくすると、レンジは妙な音を立てて止まってしまった。

壊れかけているのだろう。古ぼけた見た目から、かなりガタがきていることが想像できる。

だがその後、中年女性は思いもよらぬ行動に出た。

中年女「チェストォ!」

ガァン! レンジに豪快なチョップが炸裂!

テレビ「えええええ!? 何してんの、あの人ーーーーっ!?」

ゲーム機「よく見ておけ」

チョップ チョップ チョップ チョップ

ガァン! ガァン! ガァン! ガァン!

レンジ「いたい、いたい、いたい、いたい」

テレビ「ちょっとちょっとちょっと! ほんまに何してんの!?」

ゲーム機「直そうとしてるんだ」

テレビ「え」

ゲーム機「あの人は、壊れた家電製品はとりあえず殴ってなんとかしようとする人なんだ」

テレビ「いやいやいやいや。おかしいおかしい」

チョップ チョップ チョップ チョップ

ガァン! ガァン! ガァン! ガァン!

レンジ「あう、あう、あう、あう」

テレビ「もうやめてあげて! レンジのHPはとっくにゼロだよ!」

チョップ チョップ チョップ チョップ

ガァン! ガァン! ガァン! ガァン!

レンジ「…… ガクッ」

テレビ「死んだーーーー!」

チョップ チョップ チョップ チョップ

ガァン! ガァン! ガァン! ガァン!

テレビ「まだやるの!? 死人に鞭打つとかいうレベルじゃない!」

チョップ チョップ チョップ チョップ

ガァン! ガァン! ガァン! ガァン!

レンジ「…… ビクッ! はっ!? ワシは何を……? 川を渡ろうとしていたはずじゃが……」

テレビ「一周して生き返った?!」

ブゥーーーン レンジが再び稼動を始める。

中年女性「よしよし、まだ使えるわね」

テレビ「ひどい! ひどすぎる!」

ゲーム機「大丈夫だ、すぐに慣れる」

テレビ「こんなの、慣れるわけないでしょ!」

ゲーム機「慣れないとキツイぞ。まずは痛みを愛することから覚えるんだ」

テレビ「痛みを愛する?!!」

一年後、この新人は同じ洗礼を受け、立派などMに成長し、
歪んだ感情を持つ九十九神になってしまうのであった。

結論、物は大事に使おう!
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稲田 新太郎

Author:稲田 新太郎
音楽好きな物書き。ゲームも好き

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