九十九神2

長く使われた物には命が宿る、という話を聞いた事はあるだろうか。
そのようなものを九十九神と呼ぶらしい。

もし、それが本当だとして――
意思を持った彼らはどのようなことを考えるのだろうか?

それでは、これから彼らの生活を覗いてみよう。
 
   ◆◆◆

人に作られたもの全てが人を愛するとは限らない。
時には人に仇なすものも現れる。

ランプ

このランプはその一つだ。

男「ついに、ついに手に入れたぞ! 呪いのランプを!」

男「いやー、まさか通販で手に入るとは……ア○ゾンまじハンパねえな」

男「えーと、使い方は……」(説明書を読んでいる)

男「ランプを三回こすって、願いを言え、か。じゃあ早速」

男がランプに手をかけたその時、

ランプ「あ、いい、いい! こすらなくていいから!」

男「うお!? 喋った!?」

ランプ「最近お肌が弱くなってきてね、こすられると荒れちゃうの」

男(ランプがお肌を気にするって……)

ランプ「で、何の用や?」

男「実は……」

ランプ「わかってる、わかってる! 誰かに呪いをかけたいんやろ? 俺に頼る理由なんてそれしか無いからな! よっしゃ、早速ビジネスの話に入ろう!」

男「ビジネス?」

ランプ「あんた、いくら出せるんや?」

男「え?」

ランプ「え? じゃないよ。まさか、タダで他人を呪えると思ってたんか?」

男「え、うん、まあ」

ランプ「かーっ! 甘い、甘すぎるで! タダでそんなことできるわけないやろ!」

男「あ、じゃあ、いくら払えばいいんですかね?」(財布を開きながら)

ランプ「まあ、出せる額によるけど、ワイはお金ではやらへんで」

男「え」

ランプ「対価としてあんたの寿命をもらうで」

男「え」

ランプ「嫌なんやったら、別にええんやで」

男「……」

ランプ「どうするんや?」

男「わかりました。寿命を差し上げますから、お願いします」

ランプ「よっしゃ。それで、どれくらい出すんや? 払う寿命の長さでかけられる呪いが変わるで」

男「じゃあ、たとえば三日差し出すとしたら、どんなことが出来ます?」

ランプ「三日とはケチくさいな。まあええわ。三日か……それなら」

男(ワクワク)

ランプ「最近のパッケージにある『こちらからのどこからでも切れます』が切れなくなる呪いやな」

男「地味! 地味すぎる! だけどすごくイヤ!」

ランプ「一昔前はインスタント焼きそばの湯切りを失敗する呪いやったんやけどな」

男「三日払ってそれって……ひょっとして、俺の命、安すぎ……!?」

ランプ「どうする、これでいく?」

男「それはちょっと……じゃあ一週間だったら?」

ランプ「それなら、『タンスの角に足の小指をぶつけやすくなる呪い』やな」

男「あ、じゃあ、それで」

ランプ「商談成立やな」

   ◆◆◆

仙台箪笥さん

タンス「……ん?」

タンス「なんか、突然強くなったような……角のキレが増したような気がする」

こうしてタンスは少し強くなり、『小指殺し』の伝説に一歩近づいたのであった。
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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稲田 新太郎

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