ネゴシエイター桃太郎

桃から生まれた桃太郎。
彼が犬、サル、キジの三匹をお供に、鬼退治をした昔話はあまりに有名である。

民を苦しめていた鬼を退治したことは立派なことだ。だが、なによりもすごいのは、たったきび団子一個で三匹にそんな危険な仕事をさせたことである。

桃太郎、彼の真の武器は勇気では無かった。
彼の武器は話術とコネ。どんな難題も口先で解決する。そんな彼のことを皆は交渉人(ネゴシエイター)と呼んでいた。

犬さん2

犬「あの、桃太郎さん、ちょっと話があるんですけど」

桃太郎「なにかな? 今忙しいから後にして欲しいんだが」

犬「……僕、この仕事やめたいです」

桃太郎「……どうして? 理由を聞かせてもらおう」

犬「いや、やっぱりきび団子一個で鬼退治しろってのは、ちょっとおかしいかなって」

桃太郎「……犬君、我々は金銭などの報酬を見返りに動いているわけでは無い。我々は大義のために動いているのだ」

犬「いや、……大義はまあ、大事やと思うんですけど、その、僕にも生活があるんで……お金必要やし……それに……」

桃太郎「それに?」

犬「桃太郎さんから受け取った、鬼を攻撃する時の作戦書なんですけど……」

桃太郎「作戦に何か不備でも?」

犬「いや、もう……不備とかいうレベルじゃないと思うんですけど」

桃太郎「具体的に言ってくれないか?」

犬「作戦がアバウトすぎでしょ! なんですかこの、『犬がなんとかして鬼の注意を引く』とか、『犬がなんとかして敵を陽動する』とか、『なんとかして脱出する』とか!」

桃太郎「……」

犬「『なんとかして』が多すぎでしょ! こんな危険な作戦なのに、どんだけアドリブ頼りなんですか!」

桃太郎「……」

犬「それと、働いてるの僕ばっかりじゃないですか! キジは上から偵察してるだけで、サルに至ってはバナナ食ってるだけじゃないですか!」

桃太郎「……」

犬「こんなの、きび団子一個ではやってられませんよ!」

桃太郎「……」

犬「……」

桃太郎「……仕方ない、これは最後まで黙っておくつもりだったのだが」

犬「……なんです?」

桃太郎「実は……この仕事が無事成功したら、君を干支にしたい、という話が上から来ているんだ」

犬「え。干支って、あの干支ですよね?」

桃太郎「そうだ、あの干支だ」

犬「……まじすか」

桃太郎「……まあ、嫌だと言うなら仕方が無い。心寂しいが、代わりの犬を探すことにするよ」

犬「あ、待って待って。この話無し無し。やだなーもう、やめるわけないじゃないですかー」

桃太郎(こいつちょろいな)
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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はじめまして、コーイチです^ ^

桃太郎のネゴすごいですね!思わず笑ってしまいました!
またお邪魔しますね^ ^
更新楽しみにしています!

Re: タイトルなし

> はじめまして、コーイチです^ ^
>
> 桃太郎のネゴすごいですね!思わず笑ってしまいました!
> またお邪魔しますね^ ^
> 更新楽しみにしています!

 ありがとうございます。
 桃太郎の方はシリーズ化が難しい……。もっとはっきりいえば結末が難しい……。
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稲田 新太郎

Author:稲田 新太郎
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