ホオジロカンムリヅルの恩返し

僕「う~寒いなあ」

なんら面白みの無い1DKマンションの部屋。
そこで、僕はコタツの住人と化していた。

コンコン

誰かが入り口をノックしている。

コンコン

出る気は無い。どうせくだらない勧誘か何かだろう。

コンコン

冷えた手でコタツの上にあるノートパソコンのキーボードを叩く。
指が上手く動かない。
手専用のコタツもあればいいのに。

コンコン

お気に入りのサイトを巡回する。……うーん、今日は面白い記事は無いなあ。

ドンドンドンドン!
「ちょっと! 何居留守なんか使ってるのよ!」

ドアの向こうから女の声が聞こえてくる。

僕「なんだよ、もう。めんどくさいなあ」

僕はしぶしぶと、ドアを開けた
 
ガチャ

ホオジロカンムリヅル2

鶴っぽいなにか「早く開けなさいよ! 寒いんだから!」

僕「あ、新聞とか結構なんで」

バタン

ドンドンドンドン!

僕「なんだよもう」

ガチャ

鶴っぽいなにか「新聞じゃないわよ! 話聞きなさいよ!」

僕「あ、僕、宗教とか興味ないんで」

バタン

ドンドンドンドン!

僕「なんなんだよ、ほんとにもう。しつこいな」

ガチャ

鶴っぽいなにか「宗教の勧誘でも無いわよ!」

僕「……はあ。で、ご用件はなんでしょう」

鶴っぽいなにかは返事もせず、ずかずかと室内に入り込んできた。

鶴っぽいなにか「お邪魔するわよ」

僕「ちょっと何勝手に入ってきてんの!? 押し売りか? タチの悪い押し売りなのか!? 警察呼ぶぞ!」

僕「おい! そこの鶴! 聞いてんのか!?」

鶴はくるりとターンして僕のほうに向き直り、口を開いた。

鶴っぽいなにか「ただの鶴じゃないわ。ホオジロカンムリヅルよ。間違えないで」

僕「はあ、そうですか。で、そのホオジロなんとかが僕に何の用なんですかね」

ホオジロなんとか「恩返しに来たのよ」

僕「恩返し?」

ホオジロなんとか「そうよ。鶴の恩返しって昔話知らない? あれよ」

僕「いや、それは知ってますけど、僕、ホオジロなんとかなんて鶴を助けた覚えは無いんですけど」

ホオジロなんとか「覚えてないだけよ」

僕「いや、本当に身に覚えが――」

ホオジロなんとかは僕の言葉を遮るように一枚の書類を見せた。

ホオジロなんとか「まずはこれに必要事項を記入して頂戴」

僕「へ?」

ホオジロなんとか「契約書類よ。氏名や住所とかをこれに書くの」

僕「いや、なんでそんなことを」

ホオジロなんとか「恩返しのやり方もね、日々進化しているの。当然事務手続きのやり方も昔とは違うわ」

僕「うわあ、それってなんか、ロマンが無くなった感じで嫌だなあ」

ホオジロなんとか「いいから、さっさと書いて頂戴」

僕「はいはい。えーと……氏名……住所……」

僕「ん? なにこれ?」

ホオジロなんとか「……」

僕「なあ、この一括か分割かを選べってどういうこと?」

ホオジロなんとか「……」

僕「おい、聞いてんのか」

ホオジロカンムリヅル「……今なら10%分のポイントもつけるわよ?」

僕「お前、これ、ただのセールスじゃねえか!」
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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ブログ訪問 ありがとうございます。

これ サインしても、契約不履行された場合
この ホオジロカンムリヅルは

正体は(ホオジロカンムリヅルじゃなくて)サギだった。って事ですねw 

Re: ブログ訪問 ありがとうございます。

> これ サインしても、契約不履行された場合
> この ホオジロカンムリヅルは
>
> 正体は(ホオジロカンムリヅルじゃなくて)サギだった。って事ですねw 

そうなりますねw
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稲田 新太郎

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