熊さん10

熊さん

俺は熊。高校生だ。

そして今、俺は至福の休み時間を友達と過ごしている。

友達「なあ、あれから考えたんやけど」
熊「あれからって、なにからや」
友達「ほら、あれや。お前の改造計画や」
熊「ああ、あの遅すぎる高校デビューの話か」
友達「そうや」

そう言って友達は一冊のファッション誌を取り出した。

熊「いや、気持ちはうれしいんやけど、正直もう懲りたっていうか……」

友達は熊の言葉に耳を貸さず、あるページを開いた。

友達「まあええから、これを見ろって」
熊「なんやねん」

狼と赤ずきん

熊「……いや、ほんまになんやねんこれ」
友達「知らんのか? 最近売れ出したアイドルや」
熊「これと同じカッコしろって言うてんのか? スーツ着てるだけやないか」

この言葉に友達はため息を吐きながら首を振った。

友達「甘い、甘い。甘すぎる。隣のページを見てみろって」
熊「なになに? ……『君は本当のスーツの着こなし方を知らない』?」
友達「このアイドルはな、スーツの着方が一味違うんや」
熊「こんなんただの煽り文やろ。スーツなんてどう着ても大して変わらんって」
友達「いやいや、ちゃんと他のところも読んでみろって」
熊「なになに? ……『重要なのは第一印象。デキる狼は一目で赤ずきんを虜にする』?」
友達「次も読んでみろ」
熊「……『これまでに30人の赤ずきんを食った狼が伝授する秘伝の技。その目と耳に焼き付けろ』?」
友達「なんかすごそうやろ?」
熊「いやいや、うさんくさいだけや。なんや赤ずきん30人食ったって。赤ずきん何人おんねん」
友達「まあ、とりあえずためしてみんか?」
熊「……まあ、一回やってみるか」

   ◆◆◆

次の日――

クラスメイト男子「おはよー」
クラスメイト女子「おはよー」
友達B「おう、熊、おは……ってお前、一体どうした!?」

熊「……」
友達B「なんでスーツなんや!? っていうかお前、スーツ似合わんな……」

相撲取りのように体つきが太ましいためか、熊のスーツ姿ははちきれんかのようにぴっちぴちであった。

熊「やっぱ似合ってないよな」
友達B「自覚してるんやったら何故その格好で来た」

ガラッ 教室のドアが開く。

教師「よーし、お前ら授業だ席につ……熊、お前スーツ似合わんな……」
熊「……」

教師にまで駄目だしされた。

   ◆◆◆

その後――

熊「なあ」
友達「なんや」
熊「お前、俺で遊んでないか?」
友達「今頃気づいたんか。しかし、この赤ずきん良い足してるよなー」
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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稲田 新太郎

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